小耳袋「狐に化かされた人の行動」
怪談ライブで聞いた公に発表できない話、印象に残った話などを忘備録もかねて共有・紹介していこうと思います。
名付けて「小耳袋」。お楽しみいただけたら幸いです。
10年以上前、中山市朗氏主催の怪談ライブで、狐に化かされる話が出た。
中山市朗氏が狐に化かされるメカニズムについて持論を語っていると、客席で突然手を挙げた男性がいた。
「ぼく、こんな話を知っています」と言って、その人はこんな話をした。
彼のおじさんとおばさん夫婦がかなり昔に体験した話。
法事に行くために、2人揃って村の道を歩いていたときのこと。
道から少し離れたところにヤブのある場所があった。
おじさん夫婦がそこを通りかかると、ヤブの中に知り合いの男性が立っている。
「どうしてこんなところに?」とおじさん夫婦が声をかると、男性は「草刈りをしている」と答えた。
おじさん夫婦はその男性としばらく世間話をしてから法事に向かった。
親戚の家に着いて、差し入れが入ったお弁当箱を開けると、いなり寿司だけがなくなっている。
「ああ、狐に化かされた!」とおじさんとおばさんは悔しがった。
その法事の帰り道。
来た道を引き返していると、村の知り合い(草刈りをしていた男性とは別の人)に会った。
知り合いはおじさん夫婦を見るなり「さっきは何してたんだ?」と聞いてきた。
その知り合いは、おじさん夫婦が法事に行く道中、歩いているのを偶然見ていた。
何気なく見ていると、2人が急にヤブのある場所で立ち止まって、誰もいないヤブに向かって話しかけだした。
「一体何をしてるんだ?」とじっと見ていると、2人はおもむろに風呂敷からお弁当箱を取り出して、何かをヤブに投げ入れている。
その後は何もなかったかのように、お弁当箱をしまって再び歩きだしたのだという。
狐に化かされていなり寿司や卵を盗まれた!という話は新耳袋にたくさん登場します。
中には狐に盗まれないようにお弁当箱を押さえながら自転車に乗っていたのに盗まれた、という話もあります。
それらの話を読んで「しっかりフタをして風呂敷や布で包んだお弁当箱から狐はどうやって中身を抜くんだろう?」と不思議でしたが、この話を聞いて納得できました。
自分が覚えていないだけで、自分でお弁当箱を開けて狐にあげてたんですね。
個人的には、この理由がわかっただけでもすごい話だ!と感動しました。
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