小耳袋「人気芸人Ｔに憑いた生霊」

新耳袋の著者の中山市朗氏が、あるお笑い番組に構成作家として携わったときのこと。
中山市朗氏はその番組の収録を見学していた。
その収録はスタジオに観客を入れて行われていた。

オープニングでお笑い芸人たちが次々とスタジオの袖からセットに登場する。
芸人たちが登場するたびに、観客から黄色い歓声が飛ぶ。
その芸人の中の一人、チュートリアルの徳井が出たときに「キャー！！」と今までと比べものにならないくらいの大歓声が起きた。
観客の中には徳井を指差して叫んでいる人までいる。

「やっぱり徳井くんは人気あるなー」と中山市朗氏はその様子を感心して見ていた。
収録後に中山市朗氏がスタッフと話していると、スタッフがこんなことを言った。

チュートリアルの徳井が登場して大歓声が起きたとき、プロデューサーは徳井を見て「徳井、アカンなー」と言った。
「どうしたんですか？」とスタッフが聞くと、
「徳井の腰に女が３人しがみついてるねん。お客さんの中にそれが見えてる人がいて、悲鳴を上げて叫んでるんや」と言ったという。