小耳袋「帝都物語作者 荒俣宏と真夜中の恐山」

恐山 賽の河原怪談ライブで聞いた公に発表できない話、印象に残った話などを忘備録もかねて共有・紹介していこうと思います。
名付けて「小耳袋」。お楽しみいただけたら幸いです。

中山市朗氏が語った、2010年にNHKBSで放送された『最恐!怪談夜話』で放送されなかったエピソード。
中山市朗氏はこの番組に怪談の語り手としてゲスト出演していた。
司会は、佐野史郎と荒俣宏だった。

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荒俣宏って誰?

荒俣 宏(あらまた ひろし)は、日本の博物学者、図像学研究家、小説家、収集家、タレント。
ベストセラーとなった小説「帝都物語」が代表作。
また、博物学についても関心を持ち、「世界大博物図鑑」シリーズを完成させた。
神秘学や民俗学などにも関心を持ち、特に妖怪研究では水木しげるに師事した。(引用:Wikipedia)

荒俣宏が本番前に「恐山で面白い体験をした」と出演者たちに語った話。

荒俣宏はある日、怖い体験をしたくて青森の恐山に行こうと思い立った。
そして真夜中に一人、タクシーで恐山に向かった。
恐山に着いて、タクシーの運転手に戻るまで車内で待っているよう頼んだが、ものすごく嫌がられた。

真夜中の恐山。もちろん誰もいない。
ライトなども持たずに、さっそく「賽の河原」に向かう。
明かりもない真っ暗闇の中、見えるはずのない風車がなぜかはっきりと見える。
しかも、風はまったくないのに風車はクルクル勢いよく回っていた。
さすがの荒俣宏も怖くなってここで引き返した。

荒俣宏はこの体験を「もう、本当に怖かった~!怖かった~!」とものすごく嬉しそうな顔で話していた。
その様子を見て、中山市朗は「この人、おかしいわ」と思ったという。

心霊体験をしたいからと、いきなり真夜中に一人恐山に突撃する豪胆さ。
この行動力がすでに普通の人間とは違うな、と思わされるエピソード。
ちなみに荒俣宏は霊感ゼロで、心霊体験などについては懐疑派の立場らしい(これは中山市朗氏も同様)。

ウザかわいかった荒俣宏

私も『最恐!怪談夜話』を視聴していたが、番組中にゲストが「女の子の霊が見えて」などと語ると、荒俣宏が「もう!どうして僕のところに出てくれないのかな~!?」と、自分が幽霊を見れないことに対して、悔しさと苛立ちをにじませていた姿が印象に残っている。

荒俣宏のヘンなリアクションで、張り詰めたスタジオの雰囲気が和やかになっていた。
ちょっとウザくてイラッとするのだが、純真な子供のように「幽霊を見たい!」とおちゃめに巨体をよじる様子はかわいくもあった。

残念ながら『最恐!怪談夜話』は2010年の放送が最後になってしまったが、再開するときはぜひ荒俣宏を司会にしてほしい。
もちろんゲストには中山市朗氏も。

幽霊に好かれる人・嫌われる人

私には荒俣宏のもとに幽霊が出ない理由がなんとなく分かる。
「新耳袋 第二夜」収録「第九十話 霊を退散させた男」の編集長のように、幽霊にとって、まったく幽霊を信じない・怖がらない人のところに出ても面白くない・つまらないのだと思う。

よく分からない例えだが、もし私が幽霊だったとしたら、荒俣宏のところには出たくない。
荒俣宏が私を見たら、まったく怖がることなく珍しい虫を見つけた子供のように目をキラキラさせて喜び、観察して楽しむだろう。
幽霊はきっとそんなリアクションを求めていない。
私はハラスメントされた(不快にさせられた・傷つけられた)ような気分になるに違いない。

同じ出るのなら、きちんと見て受け止めてくれる人、稲川淳二や北野誠のところがいい。
ものすごく怖がってくれるだろうし、私の存在を誰かに伝えてくれるかもしれない。

よく分からないが、このエピソードのおかげで幽霊の気持ちについてアレコレ考えてしまった。
「幽霊が見たいのに見れない!」という人は、幽霊を恐れない日頃の態度を改めましょう。

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